2024年11月・為替動向

11月29日、石破首相は所信表明演説で、国民民主党が掲げる年収”103万円の壁”引き上げについて、「2025年度税制改正のなかで議論し引き上げる」と表明した。手取りが増える事で個人消費が上昇し、日本の景気を下支えすると見られている。
しかしながら全国の知事は引上げについて税収の減収を懸念しており、財源の確保を要望している。また財務省の巧妙なステルス増税や厚生労働省による社会保険の適用拡大が問題視されている。

米国では11月5日の大統領選でトランプ氏が当選し、返り咲いた。議会選挙においても上院下院共に共和党が過半数を上回り”トリプルレッド”の状態となった。早速トランプ大統領はX社のイーロン・マスク氏を新たに設立する政府効率化省(DOGE)のトップにすることに決めた。
政策においては関税の引き上げが重要視されており、中国やメキシコの製品に対し追加関税を発動する事を宣言した。さらに中国やインド、ロシア、ブラジルなどの新興国グループ「BRICS」に対して、ドルに代わる新たな通貨を創設すれば100%の関税を課す考えを示した。
経済の見通しについては、段階的な金融緩和で底堅く推移する事が予想される。

それでは2024年11月の為替動向について。


概況 

11月は10月に続きドル高の展開となった。月初の雇用統計では非農業部門雇用者数が前月比+1.2万人とポジティブな結果となったが10月に比べて大きく減速した。消費者物価指数もコア前月比が3.4%の上昇となり、またGDP成長率および個人消費支出もポジティブな結果となった事がドル高に貢献した。
FRBのパウエル議長は政策金利については現状の引き締めを継続するが、力強い景気により急いで利下げをする必要はないと発言した。

日銀の植田総裁は追加利上げについて”近づいている”と述べており、12月の会合で引き上げが予想されている。しかし国民民主党の古川税制調査会長は日銀の金融正常化に対して、急激な利上げが避けるべきだろうと語っている。


USD/JPY・ドル円
OPEN:152.026 / HIGH:156.744 / LOW:149.460 / CLOSE:149.707
前月比:-2.319 (-1.19%)

前月の高値は更新したが1.25ラインで抑えられており、以降は失速して150円を割り込む展開となった。


EUR/USD・ユーロドル
OPEN:1.08831 / HIGH:1.09367 / LOW:1.03314 / CLOSE:1.05741
前月比:-0.03090 (-2.84%)

オープンから急落して下段下弦の線で一度は抑えるも以降は線に沿うように下落。月折り返し以降は線を割り、-1ラインで支えられて反転して引けとなった。

11月は暗号資産(仮想通貨)の躍進が注目された。特にビットコインは対円で1500万を超える場面もあり、引けの時点でも1460万と高値を維持している。

 


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